厚生労働省はこのほど、都道府県と保健所を設置する市、特別区を合わせた142自治体を対象に実施した旅館業法の遵守に関する調査の結果をまとめた。有識者で構成する「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」の初会合(11月27日)の中で報告した。旅館業法の営業許可を受けずに営業していた事案の2014年度の把握数は、13年度に比べて約2倍に増えたことなどが分かった。
旅館業法上の無許可営業の事案の把握数は、14年度が131件。13年度の62件から倍増した。14年度に無許可営業を把握した方法については、保健所の巡回指導などが全体の44%、近隣住民や宿泊者などからの通報が41%、警察や消防などからの連絡が14%だった。
一般住宅などを利用した旅館業の営業許可に関する相談の件数については、増加が全体の37%、減少が6%、変わらないが23%、分からないが34%となった。
一般住宅などを使用した営業許可に関して、32%の自治体が許可できなかった事例があると回答した。その理由では旅館業法の関係が43%、建築基準法の関係が39%、消防法の関係が3%など。旅館業法の関係で許可できなかった事案の詳細は、面積基準が51%、面積以外の基準が34%だった。
旅館業法の無許可営業者に対する指導などの事例も把握した。主なものは次の通り。
・無許可営業に加え、旅館業法の基準も満たしていなかったため、保健所が繰り返し指導したが、営業者は「シェアハウスであり、宿泊所でない」と従わなかった。住民の通報を受けて警察が対応し、保健所に照会の上、旅館業法違反の容疑で逮捕された。
・分譲マンションの管理人が、マンションの1室の所有者が、転貸して外国人を宿泊させていると保健所に相談。保健所の指導により所有者は営業を取りやめた。
・旅館業者から、あるビル内の部屋に外国人が出入りしており、旅館業法違反の疑いがあると通報があった。保健所の調査で不特定の者を宿泊させていることが確認されたため、中止するように指導。事業者は指導に従って、宿泊施設を紹介するインターネットサイトの掲載削除を手続き中。